君よ。/草野大悟
 
扇風機がこわいという。

そのうち夜な夜な
耳元でしつこく「回りながら旋回」したあげく、
冷蔵庫を開けて、
冷えた発泡酒と枝豆で晩酌するという。

しかも冷蔵庫は、
扇風機に少し気があるらしい。

電話にはいつのまにか

見知らぬ国の(たぶん中東の方だとおもわれる)
おそらく友人の名前が
登録されている。
さらに、一週間に何度か連絡しているようだ。

しかし、相手はいつもお留守


先日

手洗いに入り、ひとり 貯水タンク裏を観察
研究は今、佳境に入ったところだと
トイレットペーパーで鼻の頭を拭きながら力説する。

君よ。

どうか、できることならば、
永遠に僕のそばに。

そしてもっと言うならば、
永遠に君のままで。

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