フネ/yumekyo
 
焼け跡の町に響き渡る槌音
鋼鉄の爆ぜる音 クレーンが上下する音
再開なった船渠に 巨大な 鉄の フネが
進水を待っている
小学校の青空教室をこっそり抜け出して
造船所の裏山へ毎日通いつめた少年は
やがて自らこの巨大なフネに乗り
天然の良港であるこの入り江を出て
見知らぬ 広々とした 大海とその向こうにある大陸へと
見えんことを 誓った

渡る雲すら引き千切らんとする そそり立つ艦橋を
水平線の彼方まで収めんとする 広大なる甲板より
日々見上げては吐息もなく絶句したのは
まだ罐炊きとして乗船した駆け出しの頃
巨大な 鉄のフネは 航海の度にあち
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