約束の地/寒雪
 


友よ
あれから何年の月日が流れたのだろう
砲弾のスコールが
いつ止むとも知れない
湿気のうねりにうんざりする
熱帯雨林の中で
笑顔交じりの涙をこぼしながら
手を取り合って硬く誓い合った
約束の日から


「死んだら他の仲間と一緒に
英霊の眠る約束の地で待ってるから
お互い生きていても死んでいても
必ずそこで再会しよう」


おまえとの間で交わされた
約束を今年も果たしにやってきた
お互いに死ぬつもりで誓った言葉
なのにおれは生き残った
おまえが死んだと知った日から
おれにとって約束は永遠になった
だから
おれがおまえたちの元へ
同窓会に参加する日までは
おれはおまえとの約束を果たすために
毎年ここへやってくる


いつの日か
顔をつき合わせたら
その時は「生き返る」ほどに
酒を浴びて笑いながら
いつまでも語り合おうじゃないか
それほど遠くない日だろう
だからその時まで息災で

戻る   Point(2)