罪人は夢を見る/五月(gogatu)
1.
可奈子、
僕たちは罪人だ
はだけた白いシャツ
現れた薄桃の素肌
汚れたのは唇
罪悪に苛まれた視線が交差し
重なり合った手と手
温もりを感じる資格もないほどに
僕らは罪を重ねてしまった
可奈子、
僕たちは罪人だ
胸元からナイフで掻っ捌き
現れた薄桃の内臓を抉り
肉を咀嚼する唇
罪の意識をまるで感じないで
僕らは生きている
重なり合った目と目
そんな風に笑っていられるのも今のうちだ
可奈子、
僕たちは罪人だ
紫丁香花の首をはねた
ある春の日の空が、あまりにも澄んでいたから
可奈子の長く茶色い髪の毛が僕の太腿をさらさらと流れる
契約で成り
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