風の吹く夜/wako
 


光の行列が上をめざして続く

夜を徹して登るはずだった
こんな岩場で
野宿をするはずではなかった
奇妙な夜だった
非現実的な時間がすぎていった
少し眠ったかも知れない

東の空が白み始めると
星は薄れて
朝の光にかき消されていった
魔法は一気にとけて
眼下にはもやにかすむ街

迷うはずのない一本道を
私達は頂上にたどりつけなかった
埃の舞い上がる砂利道を
どうやって下りたか覚えていない

星の見えない街で
日々に流されていくうちに
いつしか私達ははぐれてしまった
風の音と
温めあった感触だけが
いつまでも記憶に残る

戻る   Point(1)