風の吹く夜/wako
光の行列が上をめざして続く
夜を徹して登るはずだった
こんな岩場で
野宿をするはずではなかった
奇妙な夜だった
非現実的な時間がすぎていった
少し眠ったかも知れない
東の空が白み始めると
星は薄れて
朝の光にかき消されていった
魔法は一気にとけて
眼下にはもやにかすむ街
迷うはずのない一本道を
私達は頂上にたどりつけなかった
埃の舞い上がる砂利道を
どうやって下りたか覚えていない
星の見えない街で
日々に流されていくうちに
いつしか私達ははぐれてしまった
風の音と
温めあった感触だけが
いつまでも記憶に残る
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