風の吹く夜/wako
 
風の音が思い出を誘う夜
必ずあらわれる風景がある
真夏日の続く乾ききった夜
眼下に輝く星を
飽きもせずに眺めていた
神様のイキなはからいか
星は様々な色に輝いていた

星だったか?

私達には星に見えた
何億光年もむこうの
手の届くはずのない星に見えた
想像するしかない星に

険しい岩場のわずかなくぼみで
身を切る風にふるえていた
夢をみる状況でもなく
現実を直視したくもない夜だった

「あれは富士吉田市」

気温は次第に下がっていった
私達はお互いを気づかい
不器用に温めあった
低い気圧のせいか
薄い酸素のせいか
何も考えたくはなかった

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