大塚のベーカーズ。/そよ風
 
大塚のベーカーズは静寂に満ちている。
パン屋とイートインコーナーが隣接するその店は、むかしロッテリアだった。

幼かった私は、子供のいない都会のファーストフード店で心ぼそかった。
ホームレスが入ってきてクリープをねだっていた。
暑い夏の日。

無秩序に選び食べきれない量のパンをトレーにのせてイートインコーナーに向う。

イートインコーナーにはたくさんの人がいて、たまたま一緒にパンを食べている。
目的をもって生活をしている人の背中はとても孤独だ。

わたし達は泳ぎつかれて頭はからっぽで体はフワフワういていた。
只、空腹を満たすためだけにパンを食べた。
君は最後のかつサンド
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