頬杖ついて花火を見た/はだいろ
神宮の花火大会へ行った。
どうして、
人ごみに吐き気ももよおすくせに、
そんなところに、行ったのかというと、
彼女に、浴衣を着せたかったから。
ちょっと黄味がかった、
トンボもふわりと浮かんでる、
ピンクの帯もかわいくて、
イトーヨーカドーのおばちゃんに、
無料着付けをしてもらっているあいだ、
ぼくは本屋さんで待っている。
昼間、
落語会があったので、
帯がつぶれないように、
いすにもたれずに、
姿勢が苦しそうだった。
神宮球場では、
中村雅俊が歌っていた。
宮城県出身なのだそうで、
宮藤官九郎と、いっしょに、東北の歌を歌った。
夜に花火があがり、
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