/鯉
て奇形を産んで『堕ろせよ』の夏、夏なんです、夏なんでしょうね、夏なんですから、死ね。
違う!
目を背けろよ、お花畑になれよ、いや目はそむけている、とうの昔に、おれの目玉はあなたの目玉ではないからわからないだろうけれど、おれは目をそむけている、ぼくはめを、わたしの目を、いやそむけているとするなら、それは単純な、自己逃避、だけどたばこをすっているのはおれだ。『ここ』は『どこか』にならない、神の国はやってこない、夏もここにはない、じゃあどこにあるんだ、概念は位置に限定されない、座標軸は宇宙には存在しない、気温が高ければ夏なのかい、暑ければ夏なのかい、涙が出れば悲しいのかい、頬がゆがめばうれしいの
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