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 生殖は売買される娼婦のように夏はけばけばしい取り繕った傷跡から蝉の死骸が漏れ出している水子の帰ってくるのに従って編み笠を被った女どもが太っちょの男どもと番っている祭囃子の中でぼくは水面を見つめているがそれも排水溝から流れてきた精液で汚されている
 空は青い

「汚らしい季節、酔っ払っても無駄で、行進はやっぱりうまくいかない、詩情に訴えかけてみれば発情期の猫が出す赤ん坊のような鳴き声しか出ない、けっきょくのところ憂さ晴らし、けっきょくのところ憂さ晴らし。足並みが揃わない、おいていかれる、誰とも会わずにこのままずくずくと腐っていたい、いや腐ってはいない、おまえは単純に憂さ晴らしがしたいだけ
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