西日/小川 葉
 


このへやは
にしびがまぶしくて
とだれかがいった

だれかはもはや
ひとではなくて
それでもひとのつもりで
あるようだった

にしびだけが
つよくそのあたりを
てらしつづけた

まひるのたいようみたいに
とだれかが
だいどころのあたりで
やはりいった

あいかわらず
わたしはしごとで
いそがしいふりをしていた

きせきがおきたのは
そんなやさきの
ことだった


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