未成年の主張/伊月りさ
草むらの湿りを嗅ぎながら、肺を濡らしながら、届きもしない空に向かって、
ちいさな口、よごれた気道、つなぎたい、
つなぎたいと思われたい、と
それだけだ、あの日々のわたしは
あなたの羽が一瞬
平等な日光のなかで
はじめての反射角を成したことに胸が震えたのだ
ということを あなたに
みんな伝えたいだけじゃないか
わたし崩れたい、
なんて
大地にだれが言えるだろう
自由に飛んでほしい、と母親は言う
わたしを強く蹴って、と
言う母は いつも
蹴られると顔をすこし歪める
飛翔距離を測る
わたしのさまざまな舞いを頻繁に
独創的だというのは毒だ
殻なんていらないのに
だれも信じてくれないから
融合せずに生きてみせる、と
みんな騙されていく立像だということ
遺伝子のせいにしている
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