未成年の主張/伊月りさ
 
卵は
白身が透明でいるのが礼儀正しいことだと思っていて
黄身は水毬のようにやわらかくあるのが正直だと信じていた
あの日々のわたしは
うまく立てない殻のまるみを遺伝子のせいにしていた

好きにしていいのよ、という母は
あの子の嗜好さえ矯正してきたから笑える
この羽を不格好という
揶揄を否定しないので
飛べない子どもは足さえなくす

わたしも あなたも
ひとつのボールに割り入れて
かきまぜるのが愛だと唱えていた
会いたい、会いたい、
箸が当たる高音、はだか、
みっともないと知りながら
みんな叫んでいるじゃないか

みんな叫んでいるじゃないか
道程のどこかで

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