エストエム/伊月りさ
 
かげに入ると消えるよ
あまい香りなびくよ
そして、山をのぼろう

低い木立続くよ
かくれんぼは負けだよ
蜂は蜜をみつける

 肩に落雷
 肩に落雷
 ころされそうな扉をひらけ
 わたしをニヤリなめらかにした
 体中の栓、圧し跳ばせ

 「痛い」って合図
 斜面がぶくぶくと流れて
 下の屋根が見えなくなって
 そのへんに隠れていた小さい動物が必死に叫び返してきた
 うれしかった
 わたしは
 蜜を与えられないことを知っていたけれど

だれかに届いてしまう言葉なんて無能だ、と
きみがあまりに笑っているから
ひきずりだしたかったのかもしれない

肩に突き立てるよ
いくつでも構わない
全員とびだしておいで

まだ木立続くよ
蜂は当分絶滅しない
ここにいるよ
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