キース・レヴィン/木立 悟
歯は歯へとたどりつかぬまま歯となりて響かぬ箱を咬みつづけている
卵から卵のかたち抜け出して誰も居ぬ街誰も居ぬ日々
数列の文字の並びに指を置き現われる色あらわれる音
左手の中指の顔欠けていて欠けた顔のまま叫びつづける
響かない指かきむしり掻きむしり足元に降る肉の残骸
白と黒挽きつづければ針と斧やがて見えぬ火に白と黒の無に
陽のうろこ幾度視ただろうささくれは閉じた四角の閉じた小便
ただ人に人に似る故それ故に此処に立つなら人知らぬかな
爪を捨て指を捨てまた弦を捨て響かぬものを響かせている
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