縁族/砂木
人達を
縁族 というんだよ いつだったか
東京で空襲をくぐりぬけ 他人の子の面倒もみてきた
おばあさんが 里芋の皮を一緒にむきながら言った
おら(自分) と おめ(お前) も 縁族だ
家族と言いながらも ぎこちない顔ばかり
私はしていたのかもしれない
今もしているのかもしれない
それでも今こうして思い出すと
楽しい事もあったのだ
金属アレルギーにまけて 結婚指輪は 外してしまった
皮膚が赤くなっても 我慢していた時もあったが
もういい と
沢蟹も 人間の家に迷い込んで途方に暮れていたんだろう
それとも来たばかりの私へ 遊びに来てくれたのだったろうか
山も山の生き物も 不思議な縁を私にくれる 思い出も 夫も
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