殺人の否定/salco
可侵の聖域とすること
これさえ意識下で行なえば
山羊の皮を被った狼でしかないのかも知れない
偽善の手になる堤防は精巧なハリボテだ
そんなものは夕立一つで崩れ去る
ならば自分が最貧の最弱者になるより法はないだろう
蹂躙に身を任せる覚悟が私にはあるか
そんな勇気はとても出ない
殺戮の境界から飛びのく自己保存
は、偽善者の言い訳、苦しい言い逃れで満ち満ちて
それでも人道を語る資格があるか
瞥見した光景や上梓済の概念を語るのは何よりた易い
だが人柱として楯としての実行性を伴わぬ時
それは実に
豚のいななきに等しいのだ
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