酸欠/naru
 
息を大きく吸って
深い青の底にもぐる
珊瑚も見えない暗闇を
なおざりなばた足で進んでいく

もう今度こそ
息が足りなくなるかもしれない

もう今にだって
冷たい水を飲み込んでしまいそう

ぼくの毎日は
息つぎの無い
光の無い
そのくせ抵抗力だけはある暗い底で
目も見えないくせに閉じることもしない
悲壮な世界だ

やっとのことで息つぎをする
君のそば
音楽のそば
晴れの日
でもそれは息つぎでしかなくて
ぼくのいる場所は
深い暗い底

ゼリーのような闇に両足をとられて
見上げた大きな泡に浮かぶのは
やっぱり君の顔


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