渡る部/砂木
 
飾り部に出入りされている木の
皮をはがせば しらじらと 
預けられていた夜中が
てっぺんから ひるがえり
白い髪を吐き まるまり落ちる

梳いていた指達
歩いていた足達
口づたいに行くメロディー

根のない木は風で運ばれ
飾り部は しきり一夜を越えてくる
強く萌える緑のある時は
光に憧れ傾いて倒れる
倒れたままの木を 風が連れて行く

望まれた時だけ 土に立つ
這い出る声が消えないうちに
風に乗り 地界を離れ

はがされた皮のかけらが
塚に 声を うづめる








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