アンドロイド/未完
 
を傾けた。
初めて会った時から、まだ、そんなに時間が経っていないのに、
ずっと前から私を知っているかのように、彼は慣れた手つきで、
私に触れる。肩をぎゅっと抱かれて、あなたへ引き寄せられる。
そして、出会った頃と同じ目で私をじっと見つめる。

だけど、幸せな時間はいつまでも続かなかった。
いつの頃からか、彼は私を見ながら、他のことを考え始めていた。
私にはわかる。あなたに女ができたこと、知っているのよ。
あなたの言葉や態度から、気がつかないはずがないわ。
私はあなたの言葉のすべてに耳を傾け、身体を預けてきたのだから。
だけど、私は何も言えなかった。それでも、
言えるはずのな
[次のページ]
戻る   Point(3)