暗闇、朝。/あかり
トイレにまたがり 煙草に火をつける
古びた換気扇のたてる 老いぼれた鳥の羽音に
吸い込まれてゆく 有毒の煙
昨日流した涙は 決して
その意図を知って欲しかったんじゃなく
ただちょっと ほんのちょっと
疲れてしまっただけなので
気にしないで下さい、と 言いたかったけれど
言えなかったのは やっぱり
ただちょっと ほんのちょっと
肩くらい抱いてほしかったのかも知れない
利発な女を演じて 友達のまま
姿を消せばよかったのだけれど
ただちょっと ほんのちょっと
あなただけは気付いてくれると期待してた
汚物は吸殻と共に あたしの知らない
下水の暗闇に葬られて 流された
あたしのあんな卑怯で姑息な感情も一緒に
あなたの知らない
あたしの一日が
始まる
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