卒業/ガマパックン
 
傾きかけた夕日に
静かに染められていく放課後の教室
たわむれあそぶ影法師たち
その風景からひとりひとりを
輪郭にそって丁寧にきりとり
ノートに貼り付けていく

ふるえる手で
間隔が
あかないように
あかないように
にぎやかな貼り絵を作っていくように

やわらかな風が教室を通り抜ける
ノートは色あせた映写機のように
ぱたぱたと場面を懐かしみながらめくられていく

めくられていくノートからは
きりとったひとりひとりが
夕方の風に吹かれ
ばらばらの孤独になって窓の外へ運ばれる

やがて風といっしょになった彼らは
校門の前で足を止め
ふわりと振り返って微笑み
またふわりと去っていった
彼らは風の中


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