蝉のいない夏/小川 葉
 


せみがいないとおもったら
いないのは
せみだけではなかった

それではなにが
いないのかとおもったら
せみだけのようなきがした

せみだけをおぼえてる
ひぐらしの
かなかなかなのなきごえを

きょうのひを
くらしたかな、という
いしきだけを


戻る   Point(7)