砂壁赤色矮星/
 
われわれの視覚の死角に位置する刺客となる。しかしながらこの眼前は果たして青いものか? 茶色い、吐瀉物の色をしているのではあるまいか? 排泄物ではあるまいか?

 冷蔵庫からバラバラにした女が飛び出す。手首だけはふしぎときれいだった。と、男は言っていた。壁は耳朶にかたちを変えていた。それは女性器に似ていた。
 横目で見ているとそれはテレビの中だった。はじめから眼鏡をかけていたのだ。と男は気付いた。眼鏡こそが目玉だった。視界の端から一億が流れ出す。

「   」

 赤色矮星は脈動する。
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