砂壁赤色矮星/
 
網羅する、そして男は突き続けている、妖精版画の夢を見て、おれは誰かを殺してしまったような気がする、山手線に乗って、おれが車掌に指示をして、あいつを殺してしまった。かわいらしい、女の子だ。白菊の足をしていて、あるいは飛び去っていて……。
 ギョッタンは言った。「四角のシアンを見よ」と。

 断頭する。

 壁は収縮を始める。
 男は打ち続けている。打ち続けている。撃ち続けている。千に連なるフラクタルの階段を降りながら、空の青みを紫に変えながら、紫キャベツを食べた弟の口元を滲ませながら、包丁のリズムを刻みながら、カーテンの瞬きを繰り返しながら、妊婦を鉄板の上で焼きながら(膨れ上がりながら―
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