夏/
ぎよ
朝の熱を秤に載せ
水滴る夏の毛髪は
細い細い軌道を玄関に垂らし
陶器の騎士達は密かに出発する
天馬の透明な足跡である点々を
裸形の女の首筋にかすかに残して
朝露のさわやかな音のする火山灰に
ひきちぎられた鏡の彼方で
魚の翳が飛び跳ねた
その飛沫が魚となり
青ざめた少年となり
水素が泡立つ
鉱物の繁茂する森へと
ガラスの寝台で寝ている女の髪を
やさしく揺らし
陽炎に沈んでゆく
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