手の届く所に星の光はある/殿岡秀秋
だろう
秋の空に銀色のカブセルが
移動していく
正体のわからないものが平然と動いている
房総半島の空を
雲がものすごい勢いで飛んでいく
昭和三十五年の秋のこと
たくさんの雲が次々と流れていく
気象現象のひとつかとおもったが
その後
激しく流れる雲の群を見たことがない
みんなが観ているのにだれも不思議がらない
知床半島の星座鑑賞ツアー
大きな携帯電灯で
夜空を照らし
ここがカシオペア座
ここがオリオン座とガイドが照らす
みんなで
天然のプラネタリウムを楽しんだが
後で不思議に感じた
どうして星まで
電灯の光が届いたのか
星は手の届く所にある
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