夏/ぎよ
 
絶望の寝台の彼方へ夜の水晶
を投げる不可視光線で縁取ら
れた魚の腹をそっと愛撫する
女を私は雪の熱をもってその
首筋を愛撫する鳥たちはやさ
しい磁場をその脳髄に封印し
て牡牛の巨大な乳房に集う私
は呪われた羊歯の葉を女の小
さな乳房の裏へ隠し祈りを捧
げるアンドレ・ブルトンの詩
集は今夜太陽に照らされて開
くことができない夢は夢のま
ま閉じられる甲虫の交尾の後
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