家路/佐倉 潮
 
今日という幕の下りた舞台にまだ立っている
無名役者のような気分で、夜の小径を歩く。

行く手を照らす街灯の光を目当てに進んでいても
知らぬ間に自分の影が、すっと僕を追い越し
いつしか僕は、僕の、影法師を見つめている。
だがそれもやがて淡く消え、また、光が目標になる。

光と影をくり返し、僕はひとり家路を辿る。

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