テーブルクロス/A道化
朝には
テーブルの余白から
夜に吐いたお伽噺は消えていて
お伽噺の糧として要した液体の缶や瓶は
テーブルの余白にて
死に惚けた口腔のような
得体の知れない黒い空虚に成り果てています
朝には
テーブルの余白では
殺菌漂白された日向が過度に目立ち
厭う寄生虫は
殊に視界の悪い部分に湿度と温度を求め
雑踏へ雑踏へ
冬の乾いた雑踏へ、と
吸い寄せられるけれど
嗚呼、嗚呼、嗚呼、吸い寄せておきながら
融合寸前だと思われるその都度その瞬間、どうしても目の前で
右、と、左、に、雑踏は切開されゆき結局はわたし余白まみれの虫
宣告された殺風景に対する耐性のなさを、恥じつつも隠滅し続け
夜には
テーブルの余白へ
アルコール羊水の温度と湿度にて育んだお伽噺を腹から吐き
あ、ほらまた
テーブルクロスの幻覚が見えます
2004.11.14.
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