「 冬を迎えるために 」/椎名
 
冷たい風が吹いてくると

肩をすぼめてしまうのは

からだのぬくもりを奪われぬよう

ちからを入れて身を守るため



ひとは

自分で自分を守ろうとする

たとえそれがさらに

自分を傷つけることになろうとも



殻にこもる

こころを別の世界へ飛ばせる

虚偽のこころを作り出す

本当の自分を守るために



そうしなければ

生きていけない生き物だから

こころが壊れたら

もう歩けないね

だから必死で守るんだ

いろんな仮面をつけてね



風が冷たくなったよ

木々が色を変えたよ

冬篭りの準備をしなくっちゃ

春がくるまで

暖かくなるまで



春は遠い




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