朝の蛍/umineko
あと
いくつ夏があるだろう
母のいる夏
母に
もしものことがあったら
私は
どんな風に送るだろう
出来れば
いくつかの詩と
数え切れない花束で
彼女を 包んで
黄泉の国まで
さみしくないように
私が
添い寝してもいい
たぶん
兄は反対で
ご近所の人
みんな 招いて
お酒を振る舞い
おむすびを配って
たくさんお辞儀して
たくさん 泣くのだ
どちらも
ただしくて
どちらもが
まちがい
私の母と
兄の母では
きっと
何かが違うから
そうして
私たちは知るだろう
愛の
かたちはひとつではなく
人の数ほど
想いの数ほど
きっと
それがほんとうで
朝に飛ぶ
蛍のように
見えない強さで
私はいこう
明日
きっと大丈夫
私は
きっと大丈夫
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