潮/
るるりら
潮
明るすぎる崖
やけに落ち着いた たたずまいで立つ
青すぎる空が 海の照り返しで
光が私に立ち上ってくる
憎悪 わたしの憎悪
おもいだせない
憎悪から ここまできたのに
私は 何を憎んでいたのか
それが わたしを ここに 運んだ
紺碧の海が光る場所
この崖の高さに似合うほどの落胆は
わたしには
ない
波が洗う
潮に夕日が 近づく
生き物の匂いがする
戻る
編
削
Point
(9)