はじめてだっしゅつ/月山一天
ぼくは今日も二つのくつを見下ろしています。
しーんとなった廊下で、
じつはきのうもここで
みぎとひだりと
ひだりとみぎと
どっちがみぎで
どっちがひだりだと
ぼくの足と
くつがこんがらがるので
今日もぼくはここで
あきらめてしまう。
昼寝なんてだいきらいだ。
ぼくはいえにかえるんだ。
いつもねたふりするまさくんが、
ねないと今日こそは
おし入ればあさんにつれてかれると言っていた。
だから今日はくつはおいていく。
ぼくは
ハダシでほいくえんをとび出した。
ぼくは飛んだ。
走って
とんで
走って
風のようにまちをかけぬけた。
うん。
じゆうなぼくには、
くつなんていらなかった。
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