餌/一 二
いつもの安くて多い
路地裏の高架下にある定食屋に入る
食券を買って
店員さんに渡す
1分も経たぬうちに飯が出てくる
店に入るときも出るときも
店員さんとの会話は無い
電車が走る騒がしさに圧倒されながら
隣に座った、おじさんを見ると
エロ本を見てニヤニヤ笑いながら
鯖の皮を食べている
いつも頼むカツ丼に
醤油を入れかき回し
柚子胡椒をかける
何も考えない
ご飯が目の前にあったら
条件反射で食べるだけだ
茶で口を濯いで店を出る
電車の音から離れ
路地を抜けて表通りに出ると
お洒落なスパゲッティ屋の前に
行列ができていた
黒板の立て看板
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