アルバム巡り/電灯虫
 
自分の名前が銘打たれた
思い出のアルバムをめくる。
生まれたての時からしばらくは
記憶がどっか行ってる。
記憶前の写真は囲まれ
色んな思い出話が咲いていく。
中心にいれるはずの自分は
置いてかれてる。
でも 知らない自分は自分らしくて
こんなことしてたし あんなこともしてた。
畑に落とされても無事だった自分の
頭蓋の丈夫さに 頭の形を撫でつつ
感心して 一緒に笑った。
記憶前の自分は 一緒に笑顔だった。
話の話題はいつしか
何時かの喧嘩の原因探しに移行してて
自分は自分のアルバムを遡って辿ってる。
写真は現に在って
記憶前の自分はそこに居た。
反復する分だけ
鼻の奥がツーンとして
未だ幼い心は ざわつき
足裏に電気が走っていく。
ピリピリが足裏で踊るから
サンダル代わりにして
自分に届けられた
記憶前の自分と一緒に
今度はアルバムを
最新の写真に着くまで
時間に沿って
散歩速度でめくってく。

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