ざくろ/亜樹
 
、その甘い匂いが染み付いていた。


 たきは、明日死なねばならないらしい。
 理由は知らない。
 けれども彼女の良人が言うには、それは確かなことであるらしかった。
 自分だけではない。
 彼女の良人も、二つにもならない息子の戸分太も、死なねばならないらしい。
 祝言以来、一度も笑ったのことのない夫は、そのときもひどくしかめっ面をしていた。
 ともかくも、夫がそういうのであれば、妻たるたきに異論の余地がある筈もない。
 母から譲り受けた白装束を陰干しし、これで見納めかと、生まれ育った我が家を眺め歩いていたその目端に、不意に柘榴の木が写ったのである。
 何故その木があるのか、た
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