お知らせ/salco
ーを慮っ
てご自身でレザーストラップに直して下さったものです。
最後は、お母様が用意なさったというお菓子に同封して一冊の本を送っ
て来られました。太宰治がお好きと伺っていましたから、こんな大切な本
もらっちゃっていいの?等と御礼のメールをしましたが、返信はありませ
んでした。届いたのが五月二日の夜、翌日の昼前にその意味を知りまし
た。
カバーの少しく日焼けした『師 太宰治』(田中英光著 津軽書房刊)
は、小野さんらしく綺麗に読まれ、ページに汚れや折り癖ひとつ無いもの
でした。ただ冒頭の十ページ目に一箇所だけ、ボールペンで傍線が引かれ
ていました。それはドストエフスキーの言葉
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)