姪/salco
 
陽の化身か又は最も誉むべき生命体であるかのような
恐るべき進化速度と無尽のエネルギーを発散している二歳半の小さな娘を
抱き上げ抱き下ろし、嬌声を上げて笑い転げさせながらも、私は
常にこうして
妬みにも似た戸惑いと絶望的な疎外感を以って接しなければ
最早ならない
最早、いや、とうに
何故なら彼女こそがライオンの王様であり
何故なら私はとうに駄猫ですらないからだ
まばゆい王冠はこの綿毛に包まれた柔らかな頭に輝き
雄々しいガウンは仔犬の腹をした熱っぽい体を包んでいる
だから私は執事に過ぎない
不様な乳房をぶら下げた乳母に過ぎない
恨みがましい上目遣いの召使いの一人に過ぎない

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