むすんで ひらいて/乱太郎
むすんで ひらいて
むすんで ひらいて 手をうって むすんで またひらいて 手をうって、その手を 上に
むすんで ひらいて 手をうって むすんで
*
結んでくれと哀願した君の視線は天井に
満天の沁みに夫の顔でも浮かんできたのか
舌を出して虚ろ気味の瞳
ベッドの柱に囚われの垂れた睡蓮
*
開いて零れる君の唾液
顎の先から舐めてやれば
紅い唇の奥で舌が悶えている
掌はむすんだままだ
*
手を打ってやれば紅潮していく君の悲鳴
鴉が夕焼け空に描いた橙色は
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