海の夕暮れ/鳴海
 
二人で海に行ったのは
あれが最初で最後だった

二人で並んで堤防を歩きながら

貴方は地平線を見て
遠いね、と笑い
私は貴方を見て
遠いですね、と笑った

貴方の涙はきっと
この海より薄い群青なのだろうけど
この海より綺麗なのだろうな、と
なんの根拠もなしに思った

良くも悪くも
溢れ出した言葉は波と風の音に
消されてしまったから
またいつものように
貴方は優しいのだろう


海の泡って
こんなに涙に似てたかな



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