海の夕暮れ/
鳴海
二人で海に行ったのは
あれが最初で最後だった
二人で並んで堤防を歩きながら
貴方は地平線を見て
遠いね、と笑い
私は貴方を見て
遠いですね、と笑った
貴方の涙はきっと
この海より薄い群青なのだろうけど
この海より綺麗なのだろうな、と
なんの根拠もなしに思った
良くも悪くも
溢れ出した言葉は波と風の音に
消されてしまったから
またいつものように
貴方は優しいのだろう
海の泡って
こんなに涙に似てたかな
戻る
編
削
Point
(4)