穩野間（のんのげん）から底山（のやま）町へ/竜門勇気
。
泉籠まで来とるんならわかるわかる。おお、穩野間さんおるわ。かけ直すで。ほれじゃあの。
・・・・・・ん、穩野間さん挨拶したよ。今日はえらい大きかったわ。この前の時の倍ぃ、ゆうほどでもねえけど。だいぶ啜っとるじゃろうなあ、あれは。
まだ李餅くさい匂いがしよったけんなあ、さっきじゃろう。
・・・・・・へえで今は汽車砲の西まで出とるよ。こっからだったら鉄首町の境かの？
境言うてもだいぶこっちじゃけん土地勘無いわ。
あ、ちょっとごめん。穩野間さんまだついとるわ。出られん。
あーおるおる。濃月の祭りみたいなわ。いっぱいおる。いけんいけん、徳の衆もおるわ。
ちょっと沼方に入って盃にはいっ
・・・・・・ごめんお母ちゃん。おえなんだわ。だいぶ啜られてしもうたけん今月いっぱいは戻れんようになってしもうた。
徳の衆が飲んどったらもうどねんしようもないけん、とりあえず三好に替え文だけ送っといてつかあせえや。
今？今は底山町よ。二間さんと三間者の熊縁になっとるわ。
猿の風邪に気をつけてな。ごめんな、ごめん。ほいじゃあまた連絡するわ。
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