夜道/
鳴海
人を好きになったことがない、と言ったら
せつないねー、と貴方は笑った
もうすぐ夏なのに風は冷たいし、と続けた
もしこのまま一緒に歩いて居たら
私は何を言ってしまうか分からなかったから
もうおやすみ、と言って立ち去った
ずっと一緒に歩いていたら
好きです、と言えたのだろうか
いつも誤魔化すあなたは答えをくれるんだろうか
ごめんね、ってへらっと笑うのだろうか
どっちにしろ
少し冷たい風に攫われてしまったのだろう
と、ふと笑みが零れた
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