多幸症様症状を呈する彼について/士狼(銀)
わたしの隣でいつも幸せそうに笑う彼は
きっと多幸症なのだ
{引用=
わたしはわたしに価値を見出だせないというのに
彼は、自分ではなかなか気がつけないものだよ、と笑う
君はチワワみたいだと思っていたけど、違った、シャム猫だ、
と勝手なことを言いながら笑う
アルジャーノンに君を取られたみたいで少し寂しい、
とか言ったらやっぱりかっこわるいよね、と笑う
そういやハラミって横隔膜なんだっけ、
君と会わなかったらずっと知らなかったんだろうな、と笑う、ねぇ、
気味悪くないの
って襟元つかんで問いただしてやりたい
いつだったか
ふとした瞬間に表層化する暴力について聞かれた
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