小瓶/yumekyo
 
いわけじゃないのに
あの子はそんな求め方をした
そばに引き寄せると
あの子は途端に小さくなった
そして手のひらに載って
そのまま肌に吸い込まれて
体中を駆け巡る
そうして僕の瞳にあった
燃え滾る欲の竈から薪を引き抜いて
かわりに涼やかな視線を置いて
頭のてっぺんから外に出た

いつの間にか
恨みつらみや下心を押さえ込んで
写真の真ん中にも写ることができるようになった
かねてから一番欲しかったものが手に入って
僕は覚醒をしたのだ

あの子からもらった涼やかな視線を
さながらコンタクトレンズのように手入れをして
使わないときは埃が入らないように仕舞っておく
容器に困っていたところだ
あの子からもらった視線だから
あの子が育った街のものがいい
だから 雪が溶けてしまったら
僕も九谷焼の小瓶を買いに行こう
花柄は性に合わないから
もう少しシンプルなデザインのヤツがいい

(原作は真冬に書いたため、季節はずれ)
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