釣り/
小川 葉
つりにいくといったまま
かえらなかったわたしを
ははがいまもまっている
なんでもないいちにちの
あめがふりそうなごご
いっておいでというははに
てをふった
とちゅうあめがふりだして
かえってきたけれど
にじゅうねんかかった
いえにたどりつくまでに
わたしはあのひと
おなじつりざおを
せなかにせおいながら
あのひとおなじものほしざおに
ははがわたしの
ちいさなしたぎをほしている
なつかしいにわに
やっと
たどりついていた
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