迷い/
乱太郎
水平線の彼方での
高まる胸のしぶきが聴こえない
海辺に押し寄せるさざ波は
わたしをどこへも連れ戻してはくれない
わたしはぎざぎざに欠けた貝
打ち上げられて熱い砂地にうなされる
ときおり
小さな子どもの掌で遊ばれるけど
それさえ束の間の懐かしい幻
美しいと言われるのは
そばに転がる真珠になった砂の粒
私の迷いは
焦げくさく潮を吹き
泳ぎを忘れてしまいそう
塩分の無い海に溺れ
咽喉もとで
貝柱が強くわたしを引いていく
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