無題/葉leaf
薪を焚く煙の臭いが開け放たれた窓から侵入する
逃走中の強盗犯は、昔よくいじめた級友の家に匿われていた
時計の針の動きが残酷すぎる午後六時
「せめて終わりから始めようじゃないか」
「小さな眼が点滅しているね」
「それとも始まりから終わりにしようか」
「小さな舌が誕生しているね」
強盗犯は孤児だった
誰も信じず誰も愛さなかった
級友には温かい家庭があった
級友は強盗犯を許すべきかどうか様々な眼を用いて考えた
ソファーの温かい色に二人は別々の思いを流した
二人は太陽が焼け死ぬのを見守った
「俺を恨んでいるのか」
「このサラダはね、永遠だよ、宇宙」
「俺を憎んでいるのか」
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