私の視線/電灯虫
 
お客様 忘れ物でございます。
振り返ると 拗ねた私が席に座っていた。
すいません ありがとうございます。
お礼をいい 私の手を引く。


夕方 電車に乗る。
空いている座席がなかったので
立っていた。
正面から ビル群の合間を縫って夕陽が射す。
失敗したなと 目を細める。
横に立っていた私は 目を開けて 夕陽を見ていた。


帰りがてら 商店街に寄る。
最近できたスーパーによって
カレーの材料を買う。
買い物かごの邪魔にならないように
私は利き手の反対側から付いてきていた。
時折 姉妹が楽しそうに店内を走る様子を見る以外は
きちんと付いてきていた。


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